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Act.1 神山玲二という男
「今日の撮影は以上で終了となります!
お疲れ様でした!」
その声で現場の張りつめていた空気は、一気に
和やかになり、ざわざわと賑やかになる。
周りではベテラン俳優さんが、若手達を飲みに
誘ったりしていた。
もちろん我がスターライトプロダクションの
エース、神山玲二(かみやま れいじ)も例外では
なく…
今回のドラマの主演であるベテラン女優に声を
かけられていた。
「神山くん。
今日こそ飲みに行きましょう!」
さすが主演女優だけあって、街ですれ違ったら
二度見するレベルの美人。
そんな人に誘われたら、普通の男だったら
二つ返事でOKしそうなものなのに.....
「明日の台本読まなきゃいけないんで。
お先に失礼します。お疲れ様でした。」
表情を全く変えることなく、スタスタと
スタジオの出口に向かっていく彼。
「ほんっとーに愛想がなくて申し訳ありません!
打ち上げは必ず参加させますので!」
私は深々と頭を下げて慌てて後を追いかけた。
マネージャーとは
つくづく胃が痛くなる職業だ─────。
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