Act.1 神山玲二という男

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「やっぱり俺が作るから、翠はテレビでも 見てて。」 玄関に入ったとたんそう言われ、足早にキッチンへ 向かう玲二。 「え、撮影で疲れてるでしょ。 私が作るから少し休んでなよ。」 慌てて追いかけると、振り返った彼はゆっくり 近づいてきて、私の顔の高さまで屈む。 ───息がかかる距離。 このままキスされるのではないかという距離まで 顔が近づいた。 思わず息を飲む。 「くまできてる。 寝不足なんだろ。無理するな。」 と、玲二は私の目の下を優しく指で撫でて キッチンへ戻って行った。 玲二が女性に興味が無くて、本当によかったと 思う。 どこぞのアイドルみたいに無駄にルックスがよくて 優しくて、加えて女好きだと、熱愛報道の火消しに 追われ大変だっただろう。 そんなことを思いながら、リビングのソファに座り リモコンを手に取った。
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