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「やっぱり俺が作るから、翠はテレビでも
見てて。」
玄関に入ったとたんそう言われ、足早にキッチンへ
向かう玲二。
「え、撮影で疲れてるでしょ。
私が作るから少し休んでなよ。」
慌てて追いかけると、振り返った彼はゆっくり
近づいてきて、私の顔の高さまで屈む。
───息がかかる距離。
このままキスされるのではないかという距離まで
顔が近づいた。
思わず息を飲む。
「くまできてる。
寝不足なんだろ。無理するな。」
と、玲二は私の目の下を優しく指で撫でて
キッチンへ戻って行った。
玲二が女性に興味が無くて、本当によかったと
思う。
どこぞのアイドルみたいに無駄にルックスがよくて
優しくて、加えて女好きだと、熱愛報道の火消しに
追われ大変だっただろう。
そんなことを思いながら、リビングのソファに座り
リモコンを手に取った。
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