348人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと!
いいとこだったのに!」
「撮影で見てるだろ。」
何が気にくわないのか、淡々とテーブルに
料理を運ぶ玲二。
美味しそうな香りに導かれてテーブルを覗くと
ペペロンチーノが目に入った。
「冷める前に食べよう。」
サラダとアイスティーをテーブルに置いて
然り気無く私が座るイスを引いてくれる。
「ありがとう。」
正に至れり尽くせり。
玲二と結婚する人は、毎日こんな風にされて
幸せなんだろなーと、客観的に考えてみた。
「「いただきます。」」
二人、手を合わせてご飯を食べる。
こうやって、家で一緒に食べるのはよくあるけど
彼の料理を食べる度に毎回驚かされた。
「美味しい!
俳優じゃなかったら絶対に料理人だったわね。」
「よかった。
あんまり材料無かったから簡単なものだけど。」
「いいお婿さんになれるよ。」
それは口からぽんと出た軽い冗談。
そんな冗談に玲二は
「翠が望むなら毎日作るよ。」
...なんて
普通の女の子が聞いたらのぼせてしまうような
言葉を簡単に言ってしまうんだから本当に困る。
最初のコメントを投稿しよう!