Act.1 神山玲二という男

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「どうしたのー?難しい顔しちゃって。」 …次の日。 撮影は順調に進んで いよいよキスシーンとなった。 「KENさん。 私、不思議なことがあるんです。」 最近多い少女漫画原作の映画。 人見知りが激しいという設定のヒロインを演じる のはまだあどけなさが残るながらも一生懸命さが 好感もてる新人さん。 対する玲二は、学校で人気者のドSなイケメンを 演じている。 「なーに?不思議なことって。」 ───玲二演じるイケメンが好きな女の子達が ヒロインをいじめようと呼び出して、そこに彼が 助けにくる。 「昨日何気なく、玲二って女の子が苦手なのに キスシーンが上手ねって言ったんです。」 ───ヒロインをいじめようとしていた女の子達は 彼の登場に動揺して逃げ出す。 「そしたら、驚くくらい真っ赤になって照れて たんです。」 ───ヒロインに近づく彼。 「おまけに自分の願望がとか、相手を置き換えて とかよく分からないことをゴニョゴニョと。」 ───そしてヒロインを抱き締める。 「一体どういうことだと思います?」 「...ふふふっあははっ」 「KENさん?」 『心配かけさせてんじゃねぇよ。バカ女。』 ───彼がヒロインに言う。 「デビューしたての時にね、ちょうど台本の キスシーンのとこ開きながら難しい顔してたから あーキスシーン苦手なのかしらって こうアドバイスしたのよっ...」 ───ヒロインの後頭部に強引にわまされた手。 彼は噛みつくように唇を奪った。
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