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「どうしたのー?難しい顔しちゃって。」
…次の日。
撮影は順調に進んで
いよいよキスシーンとなった。
「KENさん。
私、不思議なことがあるんです。」
最近多い少女漫画原作の映画。
人見知りが激しいという設定のヒロインを演じる
のはまだあどけなさが残るながらも一生懸命さが
好感もてる新人さん。
対する玲二は、学校で人気者のドSなイケメンを
演じている。
「なーに?不思議なことって。」
───玲二演じるイケメンが好きな女の子達が
ヒロインをいじめようと呼び出して、そこに彼が
助けにくる。
「昨日何気なく、玲二って女の子が苦手なのに
キスシーンが上手ねって言ったんです。」
───ヒロインをいじめようとしていた女の子達は
彼の登場に動揺して逃げ出す。
「そしたら、驚くくらい真っ赤になって照れて
たんです。」
───ヒロインに近づく彼。
「おまけに自分の願望がとか、相手を置き換えて
とかよく分からないことをゴニョゴニョと。」
───そしてヒロインを抱き締める。
「一体どういうことだと思います?」
「...ふふふっあははっ」
「KENさん?」
『心配かけさせてんじゃねぇよ。バカ女。』
───彼がヒロインに言う。
「デビューしたての時にね、ちょうど台本の
キスシーンのとこ開きながら難しい顔してたから
あーキスシーン苦手なのかしらって
こうアドバイスしたのよっ...」
───ヒロインの後頭部に強引にわまされた手。
彼は噛みつくように唇を奪った。
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