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「相手の女の子を翠ちゃんだと思ってやって
みたらー?って。」
目の前ではやっぱり見とれてしまうくらい
綺麗で情熱的なキスシーン。
唇が離れた瞬間にカットの声がかかる。
そこで相手役の女の子が、玲二のキスで腰を
ぬかしてしまったのか、真っ赤になって膝から
崩れ落ちた。
「ちょっと待って下さい!
なんで私なんですか!?」
私はつい声が大きくなってしまう。
それを見たKENさんは面白くてしょうがないとでも
言うような顔をしている。
「翠ちゃんって綺麗で仕事もできるのに
鈍感さんよねー。」
「鈍感って...」
「相手役の人を好きな人に置き換えてやれば
キスしやすいじゃないって話よー!」
そこで頭の中に浮かんだのは...
昨日の玲二の言葉。
自分の願望───
相手を置き換えて───
翠に言われると恥ずかしい───。
「いや、まさか。
確かに玲二は私になついてますけどそれは恋愛対象
としてではなく、お母さん的なものですよ。」
「あらま、玲二ったら可哀想にー。」
KENさんの言葉に、さっきのシーンが蘇ってくる。
強く抱き締めて、ちょっと強引に後頭部にまわす手。
噛みつくようなキス。
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