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「そうですね...現場では彼の演技力を評価
してくれる人は多いですが、世間一般の評価は
まだまだイケメン俳優の枠を出られていないように
思います。」
「ファンも若い女性が中心だしな。」
社長の手が自然と顎にいく。
これは癖で、真剣に物事を考える時に
顎髭を撫でるんだ。
「そうなんです。
今まではとりあえず経験を積ませようとライトな
作品をやらせて来ましたが、もう中高生・20代
前半の人気は充分得られましたから
次はアラサー・アラフォー世代を狙いたいと
思います。」
「だとしたら確か木10ドラマの話しがあった
はずだ。
主婦と学生の不倫ものだったと思うが、どう
かな?」
「それは私も考えたのですが...
まだ玲二には難しいようです。」
…先日、ベッドシーンをやるか聞いた時の
彼の反応が蘇る。
あの様子だとさすがに難しそうだ。
「では、どうする?」
何か次の一手を考えているんだろう?
...と、その視線が語っていた。
「ミステリーをやらせたいと思います。
犯人役で。」
社長の目がキラリと光る。
話している私もそうだけど、きっと社長も
ワクワクしているんだ。
玲二の可能性に。
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