348人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょうど二夜連続ミステリースペシャルの
犯人役の話しが昨日入ったのでお受けしようと
思います。」
「ほお。いいタイミングだな。
どんな話しなんだ?」
「犯人は人を人とも思わないような冷酷で知能が
高い連続殺人犯です。
その犯人と警視庁のはぐれもの刑事の対決を描いた
昨年本屋大賞のミステリー部門で受賞した小説の
初映像化作品です。」
あらかじめ用意しておいた資料をバッグから出し
机の上に置くと、社長は食い入るように
見ていた。
その社長を私もじっと見つめる。
「面白そうじゃないか。」
「はい。
しかも周りを固めるのはベテランばかり。
玲二にとっていい刺激になる上に、今まで見せた
ことがない新たな彼の魅力を視聴者に見せつける
チャンスだと思います。」
一通り資料に目を通した社長は
ふっと笑った。
視線がばちりと合わさる私達。
「よし。それでいこう。
坂下君に任せる。」
と、社長に後押しもしてもらったので
私も全力で次の仕事にとりかかれる。
「ありがとうございます!」
まずは先方に正式にオファーを受ける連絡をして
そして、玲二にも連絡しなくては。
逸る気持ちを止められず、頭を下げてすぐに私は
社長室を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!