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「じゃあ私も出席するから、打ち上げには
ぜっったいに出てもらうからね。」
あえて営業スマイル全開にして言うと
玲二は不満顔ながら返事をする。
「わかった。」
とは言いながら、さっきよりもっと強い力で
抱きついてきたところでバンッと勢いよくドアが
開いた。
「まーた玲二は翠ちゃんに甘えてるわけー?」
ノックもなしに突然楽屋に入ってきたのは
玲二の専属ヘアメイクのKENさん。
こんな状況はもう日常茶飯事だ。
「翠ちゃんはあなたのお姉さんでもお母さんでも
ないわよー?」
「知ってる。」
綺麗な顔で睨みつける玲二に怯むことなく
KENさんはいつものオネエ言葉で尚も話を続ける。
この玲二に怯むことなく対等に話せるのはKENさん
くらいだろう。
「翠ちゃんもっ、甘やかし過ぎ。」
...痛いところを突かれた。
3年間ずっと見てきているのと、彼の生い立ちを
知っているせいもあって、どうも私は過保護に
なってしまう。
「そんなんじゃ結婚できないわよー?
女は子供産むまでのタイムリミットがあるん
だから!」
その言葉を聞いた瞬間、今までくっついていた
玲二はばっと離れ、KENさんの目の前に立ち
塞がり…
「心配しなくても俺が責任とるから。」
───と、意味深な発言をするもんだから
本当に困る。
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