Act.1 神山玲二という男

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「翠。 一緒に夕飯食べようよ。」 「だーめ。 写真撮られたら面倒でしょ。」 運転中だというのに急に近づいてきて、まるで恋人 同士のような距離で囁く。 「家で食べればいいだろ。 翠と一緒に食べたい。」 …とか言い出すんだから、彼はとんでもない プレイボーイだ。 これを誰彼構わずやっていたとしたら週刊誌の格好 のエサになっていたに違いない。 簡単には諦めないことを知ってるから、仕方ないと 軽く息をついた。 「わかった。  じゃあ玲二の家で何か作ってあげる。」 「翠の家がいい。」 「それは却下。」 マネージャーをしていて、私にはひとつだけ 譲れないことがある。 「翠の家に行きたい。」 「だめ。」 それは... 俳優達をプライベートに踏み込ませないことだ。
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