Act.1 神山玲二という男

9/28
前へ
/231ページ
次へ
「...わかった。」 渋々納得したのを確認して、車を彼のマンションへ 走らせた。 本当は仕事が終わった後もプライベートだから 一緒にご飯を食べるとかありえないのだけど 母性本能からくるものなのか、彼の才能に 惚れ込んでしまった弱味か、どうしても断れない 自分がいる。 玲二も玲二で、過去のいきさつから女性に対して 不信感があり、仕事以外で女性と関わることは ないのに、私だけにはなついてくれている。 それはどうしたって嬉しいことだ。 事務所に入ってからずっと世話を焼いてきたから きっと彼にとって、私は母のような姉のような 存在なんだろうな。 この時はまだ、そんな風に思っていた───。
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

348人が本棚に入れています
本棚に追加