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あの時とっさの判断で犯行現場にいる人間をおさえた山本の行為が功を奏した。 全員に聞き取り調査した結果、ファンの揉め事をつきとめる。 「女の子の中に殺人依頼した犯人がいました」 未成年のひとりが逮捕された。 彼女のスマホや家のパソコンを押収してメールのやりとりを探していく。 「全部消去されていたので現在復旧中です」 「その間にひぐらし屋は逃げるぞ。アプリ出してみろ」 山本がスマホで検索するが、闇サイトの画面が消えていた。 「俺が捕まったレンタルルームは押さえてあるか?」 「指紋も髪の毛1本も出てきませんでした」 ひぐらし屋代表メアリ、仕事は完璧だ。 逆に彼女に興味を持った。 どんな経緯で殺人を金に変える商売をし始めたのだろう。 急に無言になり考え事を始めた水谷を、不審な目で山本が見ている。 「なに?」 視線を感じた水谷が何気なく聞く。 「…何でもないです」 そう言って山本は横をすり抜けてキッチンに向かった。 水谷は自分が拉致されたあたりの記憶が曖昧だった。 「なあ、俺が連れ去られた場所にカメラなかったか?」 「あの辺、カメラは設置されてなかったです」 メアリは意図的にそういう場所を選んでいるのだろう。 ますます彼女に興味を持った。
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