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「あっ…ぁ……ゆ…きや…‥」
仰向けで腰を捕まえられて、白いクッションを強く握って真琴は快感に耐えた。
雪哉は耳元まで近づいてささやく。
「他人に嫉妬するなよ、真琴」
小さくうなずく真琴に納得したような笑顔を作って、責める動きを強めた。
「あ…ゆきっ‥…」
「俺はどこにも行かないから」
そう言いながら答えられないようにわざと強く突き上げる。
「やっ…あ…、‥そこ…」
「嫌なのか?」
意地悪なことをして楽しんでいる自分に笑いがこみ上げた。
真琴が自身を握ろうとして伸ばした手を雪哉がつかむ。
「俺がやるよ」
勃起して透明な汁で濡れている真琴のそれ。
「ぅ…」
仕事うんぬんより、自分に従えばいい。
今回真琴が頑なに仕事内容を反対しているのは、自分たちの間に他人が入ってきて雪哉が心変わりしないか心配なだけで、単なる嫉妬。
「…雪哉…‥」
涙に濡れた瞳で真琴は雪哉を見上げた。
「疲れたら寝ていいよ」
「ちが…う」
前職の癖なのか、真琴はぎりぎりの所まで油断しない。
「俺ってそんなに信用できないのかな」
雪哉はそれを突き崩したくなる。
「…っあ…あぁ…ゆき…‥」
今度こそ気絶させてやると思って、雪哉は乱暴に抜き差しした。
「あ…ん、…ふっ…‥」
動きに合わせて嬌声を上げていた真琴の声がだんだん小さくなっていく。
「気持ちいい?」
「うん…」
珍しく素直なことを言って、雪哉の腕がゆっくりすべり落ちた。
「…っ!」
喉に声をつまらせて、雪哉はゴムに射精した。
それを結んでゴミ箱に投げて、改めて真琴を見る。
クッションとマットレスの間に軍用ナイフが隠されているのは知っていた。
いつ刺されるか、そんな緊張感が余計燃え上がらせる。
「…雪哉」
ベッドに沈む真琴の髪をなでていた雪哉の名前を呟く。
「なに?」
「…‥」
わずかに唇が動いたが、珍しく真琴が眠ってしまった。
警戒心の塊のような男が無防備で気を失うなんて、少しは信用されたかなと征服欲が満足する。
同業の闇サイト「ひぐらし屋」の代表南春香、通称メアリのことを話そうと思っていたが、真琴が自然に目を覚ますまで待つことにして雪哉も横になった。
ほとんどの依頼が殺人代行、それは自身の「ブレッドシリアル」も同じだった。
世の中は不条理だらけで、相手を殺すことでしかやりきれない人の精神を理解しているつもりだったが、かすかに残る常識が脳内で否定した。
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