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相関図
どうせ落ちるのだから最初から抵抗しなければいいのにと雪哉は苦笑する。
プライドの高い真琴はその微笑すら癇に障るらしく、中性的で可愛い顔をしかめて睨みつけてくる。
29歳の童顔な真琴より5つも下だが、元俳優の雪哉は黒い長めの前髪に、強い視線を持つ切れ長の目で、悪の雰囲気を持つ男だった。
深夜、白いベッドの上で裸で雪哉に自由を拘束されて、線の細い体を指と舌でせめられる。声を出さないのが精一杯の抵抗らしい。
「そろそろ楽になったら」
顔をそむけて目を閉じている真琴に、雪哉は優しく言ってみた。
拘束していた両手首をそっと離して、雪哉は白い首筋に舌をすべらして、手のひらを体のラインに沿って下半身に降ろしていった。
「は…」
その刺激に、ゆるいウェーブのかかった真琴の黒髪が揺れる。
「毎回、この手に…乗るか…」
自分の主張を、この行為で強引に跳ね返して賛成させられるのに嫌気がさしてきたみたいだが、やがて真琴の嬌声だけが聞こえてくる。
「ぁ……ぁ…」
後ろに挿入されて雪哉に激しく突かれる頃には、力の抜けた体と蕩けた顔で真琴が堕ちたことを証明してくれる。
「仕事なんだからわかってよ、真琴」
このタイミングで話をすれば逆らわないはず。
だが今回は何故か勝手が違った。
「僕ひとりでも…できる」
少しだけ開いた唇から、まさかの反対意見に雪哉が驚く。
「同業者を潰すだけだろ?」
自分に反抗する態度に腹が立って雪哉は動きをやめた。
「じゃあ続きもひとりでやれ」
興味が無くなったという顔で雪哉は体を離そうとした。
「…え?」
理解できないという顔の真琴に、下衆な顔で見下ろしながら笑う。
「自分の手があるだろ」
殴られるかと思ったが、華奢な体は動かなかった。
ただ、弱々しく雪哉の腕をつかむ。
「…」
行かないで。
その一言すら、プライドが高い真琴は言えない。
どうして素直になれないのか、雪哉は笑うしかなかった。
今にも声をあげて泣き出しそうな真琴に折れて、雪哉は矛を収める。
「俺のこと好き?」
ゆっくり動いて焦らしながら仲直りの合図を送る。
「…好き……」
静かに視線を合わせる真琴に優しい笑顔で答えた。
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