*狼さんの本当の姿(side大河)*

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*狼さんの本当の姿(side大河)*

「ねぇ、あの人顔怖い」 「なんか拾ってるよ……? ゴミ? あ、猫だ」 「食べるのかな」 「怖いー」 (違う、捨て猫を拾ってるだけだ……オレは……)  いつだってそうだ。オレは見た目で怖がられる。  そのうえ、馬鹿だから有名な不良校の制服を着るはめになり、無駄に迫力が出てしまった。明日から入学式なので、試しにそでを通しただけなのに。 「大河。お前、また猫拾ったのか」 「父さん、今日もお勤めご苦労様」 「何、好きで警察をしているんだから、当然だ」  自慢の父親。馬鹿なオレを責めることもせず、なんだかんだで認めてくれる寛大な父。  そんな男に、オレはなりたいといつも思う。  だけど。 (オレも、本当は警察になりたい、けど……この顔と成績じゃ無理なんだろうな)  何でオレは母さんの父に似て強面なのか。  そして、馬鹿なのか。母さんだって看護師で、頭がいいのに――。オレだけ。家族でおれだけ落ちこぼれだ……。  自分に嫌気がさす。普通の男子として、のんびり過ごしたかったのに、いつだって見た目で人が逃げていった。その結果、友達なんか一人もいない。
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