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「あなたに恋愛感情を持ってしまったんです。こども心に『いけない感情』だと、『捨てなくてはいけない』と割り切ろうとしました」  ですが無理でした、と、へらりとわらう。いまは開き直って「好きだ」と、認めているようだ。 「僕が側にいるのは、いやですか」  うれいげに、きれいな瞳がふせられる。躰もかすかに、震えている。そうとう勇気をふりしぼって、言ってくれたのだと理解した。 「ありがとう。正直に話してくれて、ありがとう」  手を握ると、指先が凍えている。 「俺はまだ答えを出せないけれども、それでも側にいてくれるか」  はにかんだような笑顔で、ヒロキは手を握り返してくれた。指先はすでに、あたたかくなっている。 了
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