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 じりじりと身を焦がす夏の太陽。軽やかな音を立てる風鈴。縁側で寝そべりながら、ぼんやりとまどろむ時間が好きだった。虫の鳴き声と扇風機の羽の音。 「けん兄ちゃん!」  自分を呼ぶ、少年の声。夏休みを利用して、母親の実家に帰省していた小学生の少年がいた。その実家が我が家の近くであったから、夏の間はいつも遊びに来ていた。家にいても、つまらないのだろう。 「また寝てたの?」  顔をのぞき込まれる。あくびを浮かべながら、上半身を起こした。 「脳を休ませているんだよ。ずいぶん糖分を使ったからな」  したり顔で仕上がった「夏休みの宿題」を、見せびらかす。 「わあ、すごい! けん兄ちゃん、もう出来てるの?」 「おうよ」  胸を張ると奥から母さんが、あらわれた。かごいっぱいの、洗濯ものを抱えている。 「おや、ヒロキ君。来ていたの。これ、けんちゃん。机の上、片付けて。物置にお菓子があるから、お出しよ」  むすっとしながら、「はいはい」と広げてあった宿題を片付ける。物置を開けると、スナック菓子がいくつかあった。いま自分が食べたいものを出す。
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