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「困ります!」
思わず大きな声を上げて詰め寄ってしまう。先生はどうしてこんなことを言うのかな。私を困らせて、楽しんでいるのだろうか。
進藤先生はにっこりと邪気のない顔で笑う。そして……
「じゃあ……僕の気持ちに気づかないふり、止めてくれません? 無理に好きになってとまでは言いませんので」
私の痛いところを、ぶすりと刺してきた。
「な、なんのこと……でしょう……」
思わず目が泳ぐ。ああ、こんなの気づいているのがバレバレじゃない!
「この原稿に、うっかり珈琲を……」
「や、止めてください!!」
とんでもないことを言われて、私は涙目になった。今から代原なんて絶対に間に合わない!
「こんな脅しは、これ一度きりで止めますから」
甘えるような声音で言われて、言葉に詰まってしまう。しばらく見つめ合った後に……折れたのは私だった。
「うう、わかりました。だから神様……原稿をお願いします!!」
手を合わせて、必死に懇願する。
そんな私を見た『神様』は……嬉しそうな顔で、小さくガッツポーズをした。
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