雑記『かきかけ』

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 季節が足早に駆け抜けていく。  一年があっという間に過ぎ去って、子どもの頃のように濃密な日々は、もう戻ってこないのだろうかと不安になることがある。  あの頃どんなふうに景色を見ていたのか。  何にあれほど心を弾ませていたのか。  遠い昔になりつつある当時の記憶を、どうにか引っ張り出そうと躍起になる。  季節の流れていくその隙間に、いくつかのイベントがある。それは別に学校ごとに存在する固有のものの話ではなく、夏休みやハロウィン、クリスマスのような誰でも経験する行事のことだ。  それらが近づいてくるたびにワクワクが止まらなかったのは、それらの全貌を詳しく知らなかったからなのかもしれない。  特に何か準備をするわけでもないけれど、いつの間にか開催されたイベント。ある時は様々な衣装に身を包み、またある時は翌日に届くかもしれないプレゼントに胸を躍らせる。  年を跨ぐときの、自分や周囲の景色が洗われたような感覚。除夜の鐘をききながら湯船に浸かっている時の、皮膚に伝わる温度。匂い。  雪の冷たさと、それとは対照的な、体の内側から湧き上がってくる熱の温度。寒さなんて気にせずに庭を走り回っていた。  その景色全てが今でも胸の奥、そのどこかにしまわれている。ふとした瞬間にそれの端っこが崩れて顔を出す。  あの感覚をずっと自分の中に探し求め続けている。
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