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古びた本が部屋の一角に、横倒しに積まれている。
空気中の埃はちらちらと光を浴びて漂っている。
歩みを進めるたびに、古びたフローリングがみしみしと音を立てる。一体どれくらい放置されていたのだろう。よく見ると、床に足跡が付くくらい埃が積もっている。
人が出入りした気配は一切ない。様々なアンティーク家具が置いてはあるけれど、それらはすべて人間の生活とは切り離されている。まるで標本のように静かに存在している。
窓の外を覗いてみる。太陽の光が鳥を白く照らしている。
鳥はちちち、と言いながらどこか遠くへ飛んでいく。彼(あるいは彼女)は、この建物の目の前にある大きな森の中に入っていった。
ふと思う。あの森の中にはいったい何があるんだろう。自分は別の道からここにたどり着いたため、森がどんな場所か知らない。
まるで何かを包み隠すように茂る木々が、何者も拒むような空気感がある。
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