雑記『かきかけ』

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 新しくノートのページを開く。  これから先に何を書いていこうか悩んでいる。  真っ白いページの中に何か見えるものがないか、目を凝らす。  ペン先にインクが染み込んでいく。  ノートに書き込んでいくたびに、少しずつ色付いていく。  ペンが紙の上で擦れる感触が、指先からゆっくりと身体の中に溶けていく。  何も書かれていない景色の上に新しく世界を作っていく。  何もない。  何でもできる。  今までに見たことのないものも、今まで大切にしてきたものも、その全てを混ぜ合わせて作り変えていく。  景色はどこまでも真っ白で、何もないように見えて何でも生み出すことができる。  描こうとしているものがどんな姿か未だに分からない。  ただこのままではいけないという焦りが混じっている。  これから生み出していくものに価値があるのだろうかと考える。仮に無かったとしても、もう歩き出してしまったものは仕方がないかと諦めて前に進む。  今目の前に見えているのはどんな景色なのか、少しずつ探っていく。そのために歩いていく。
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