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「神様、お願いです。今年こそいい男性とお付き合い出来ますように」
神埼あかりは、出雲大社の賽銭箱に小銭を投げ入れ、二礼三拍手した。
「ひい、ふう、みい。恋愛成就の願いごとがたったこれだけか?」
「今、何かこえがした? まあいいか! ついでにイケメンの男性でありますように」
願いごとにイケメンと付け加える。
「付加価値にイケメンをつけるなら、もう少し賽銭を上げてもいいだろう」
神は賽銭の金額に不服のようだが、あかりには届かない。
「きっとかなうよね? 賽銭は気持ちだもの!」
「確かに賽銭は気持ちだ。ならば問おう、お前はイケメンとの恋愛成就がほんの少しの賽銭でかなうという気持ちなのか? よく考えろ! 恋愛成就ということはだ、人生が一変するほど大変なことだ」
「ついでにイケボな彼氏がいいなぁ。賽銭を少し弾みますか」
「ちょっと待て! 賽銭を少し弾めば付加価値が手に入ると考えているのか? 賽銭箱はパチンコ台じゃないんだ」
「欲をいえば、高収入な男性がいいな」
「最初から欲しか言ってないだろう! ひょっとして賽銭なめてる? 出雲大社なめてる? 人生なめてる!」
「よし、ここまで賽銭を弾めば、今年は彼氏をゲットできるはず」
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