10人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁ、神さま。オレ彼女が欲しいです。どうかご縁を下さい」
本殿にやってきた男は、財布から小銭を取り出すと、賽銭箱に投げ入れた。
「なるほどな。この男は神埼あかりと需要がマッチしているな」
「このひとなら、あかりちゃんとお付き合いさせてもいいんじゃないかしら?」
「願わくば橋本環奈みたいな可愛い女の子とお付き合いしたいです。どうか縁結びのほうをお願いします!」
男は二礼三拍手し、深々と頭を下げる。
「はああああっ!? は・し・も・と・か・ん・なですってえええ!?」
「おいおい、ネトラレノウズメよ! 圧が出とるぞ圧がっ! まあ落ち着け!」
ネトラレノウズメから強力な圧が出たことに、焦りを感じたノリツッコミノミコトは、慌てて諭す。
「自分の顔を鏡で見てからものをいいなさいよゴルァ!」
「先程は、イケメンやイケボは細やかな願いごとだと言っていただろう!」
「橋本環奈は可愛いいけど、イケメンではないからこの願いは例外よ!」
「めちゃくちゃな理屈だな!」
「んっ!! なんか神社の空気が変わったような気がするが、パワースポットだから神さまがオレにパワーを送って下さっているんだな? ありがとうございまーす!!」
「こちらからはなにも送ってないぞ!」
男はパワースポットからパワーを得たと勘違いし、更に願う。
「ついでにお金、一千万円下さいませ!」
「ビタ一文やらん!」
「それと車っ! ニッサンの電気自動車が欲しいです!」
「さっきの一千万円あったら一括でポンと買えるでしょ! というかそもそもここは縁むすび専門の神社なの! 金運が欲しいならよそに参拝しなさいっ!」
ネトラレノウズメは息を切らしながら、男性にそういった。
最初のコメントを投稿しよう!