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一夜の残り
それからは慌ただしかった。
親戚や両親からは初めての仕事でよくやったと褒められ、一流の異形殺しという身分を貰った。
少しも嬉しくはない。身分については気持ち悪すぎて、どうしようかと思っている。
ぼくはたとえこれからお仕事を貰ったとて、幸魔を手に掛けることはできない。だからもっと大きくなったら、ここから逃げようと思う。
しばらくは仕事も来ないだろうと言われたので、その間に幸魔を殺せと命名されることは無いはずだ。
そして逃げた後も強くなるよう訓練する。
異形殺しというものが、いつかなくなるようにと。
人間と幸魔が楽しく共存できる世界をつくりたいから。
夢のような話だけれど、そう思っている。
そして、手紙だ。
あれから一週間ほど。
読む時間をつくることができなかったが、やっと作ることができた。
ゆっくり、丁寧に封を切る。
中には紙が一枚、入っていた。
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