一夜の残り

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忘れない、忘れられるわけがない。 大好きだったジャック。 会ったのはたった五回だけれど、忘れる方がおかしい。 だから……この手紙の通り、ジャックこそぼくのことを忘れないでいて。 ずっとずっと、ぼくは覚えているから。 そしていつか出会えたら、思いっきり怒ってみよう。 ぼくの気持ちも考えてみろって。 ああ、大好き。唱えるたびに、思う度に、その思いが強くなる。 ジャックがいなくなってできた穴が、手紙とこの気持ちで少しずつ埋められていく。 そういえばフランって、あのフランケンシュタインのことだろか。 それ以外ありえないだろう。 「ジャック、フランさんには逆に暖かさを貰ったよ。ジャックにあんな友達がいるなんて思ってなかったよ。あと、忘れないよ。ぼくも、何度も言ったように大好きなんだから」 ジャックに届いていることを願って、空に向かって言った。 「だから、いつか変えて見せる。この場所を」 だから……届いていますように。
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