プロローグ

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プロローグ

「へぇ、まだ自分がβだって言い張るんだ? こんな立派なモン持っといて?」 喉の奥で低く笑った彼は、なんの予告もせず無遠慮に私のスカートの中に手を入れた。 内腿を軽く撫でて下着の上に指を擦り付けてくる。思わず腰を震わせると、ずっと薄く笑みを浮かべていた彼が不自然に喉を鳴らした。 「は……っやば、濡れそう」 「やっ…! やだ、そこ触らないで!」 彼の声が、においが、触れる指が。すべて刺激が強すぎて、私も知らない私が顔を出してしまいそうだった。 呼吸を荒くした彼は、乱暴に掴んだ私の手を自分の下半身に押し付けてくる。 「それじゃあ、俺の触って?」 とろけそうなほど甘い声が脳を揺さぶった。 反射的に手に力を入れると、ビクッと身体を震わせた彼が息を詰めて肩口に顔を埋めてくる。 「すっげぇ……気持ちぃ……っ」 もっと、と強請るように擦り寄ってくる。甘いにおいが強くなる。 私はβで、Ωのフェロモンなんて感じるはずがないのに。βのはずなのに。 「……っめ、」 「は? なに…って、ぅわ!」 頭が真っ白になって、気付いたら形勢逆転させて彼を押し倒していた。驚いて目を丸くした彼が見上げてくる。 なにやってるの、私? だめ、こんなのだめ。 私は普通に、女の子として普通の幸せを……! 「……っは、いい顔」 にやりと笑った彼が私の頬を両手で包む。 甘くすがめられた瞳に目を奪われていると、噛み付くようにキスをされた。
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