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1・工藤晶の落とし物
その日の工藤晶はひどく酔っぱらっていた。
久しぶりに同級生四人と酒を酌み交わし、強くもないのにビールを何杯も飲んだ。
フラフラで家路に着き、着替えもせずにベッドに倒れ、そのまま眠った。
起きたのはその三時間ほど後だった。
目を開け、起き上がると頭が痛んだ。
部屋の明かりは点いたままだった。
頭を抑えながら冷蔵庫へ向かいペットボトルの緑茶をラッパ飲みする。
部屋に戻りスマホで時間を確認する。
夜中の二時を過ぎていた。
着替えは明日でいいか、とまたベッドに倒れようとした寸前、何かが足元に当たった。
見るとトートバッグだった。
家に帰り、そのままここに放っていたらしい。
と、ぶら下げているはずのキーホルダーが無いことに気付いた。
目をこすり、よく確認する。
いつも黒のトートバッグの持ち手の部分にぶら下げている『思ニャン』がいない。
部屋の周りを探す。
普段から整頓しているので、床に何か落ちていればすぐに分かる。
しかし、箱ティッシュとコロコロがあるだけ。
「無い……」
静かな部屋で、思わずそう声に出していた。
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