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たかがキーホルダーのためにここまでするなんて自分でも馬鹿げていると思った。
二十分ほどでやって来たタクシーの乗り込み、行き先を伝える。
自分がつい数時間前まで飲んでいた場所だ。
今日飲んだ場所は、居酒屋『京』。
夜の八時頃に付近で待ち合わせたのだが、大通りの裏手ということもあって人はまばらだった。
たとえ人が多かったとしても、あんなキーホルダーをわざわざ拾う者などいないだろう、と自分を落ち着かせるため楽観的に考える。
道は空いていて三十分もかからずに到着した。
降りる直前で、この辺りを流しているタクシー会社はあるか、と運転手に聞いた。
運転手は、けっこうありますよ、と答えた。
やはりそうだろうな、と思い降車する。
来た時よりも更に人気は無かった。
帰りはどうだったろうか、と考えるがあまり記憶が無かった。
飲んでいた居酒屋『京』の暖簾は下げられていた。
しかし中の明かりは点いている。
引き戸式の扉に手を掛けると開いた。
丁度、目の前に従業員の女性がいた。
履き掃除をしている。
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