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あとは外灯。
暗い、とても。
ここでタクシーを捕まえたとは考えにくい。
表通りまで歩いて行ったのだろう。
あるいは電話をしてここまで来てもらったか。
大通りへ行くには一つの道しかない。
そこもまた薄暗く、店も数軒だけ。
その数軒の店も明かりが消えている。
目を凝らし、道を探す。
ゆっくりと歩を進める。
遠くで犬が鳴く。
だんだんと人の歩く音、声が増える。
ゆっくりと、時には立ち止まりながら歩く。
何か光るものが目に入り屈むと、瓶の破片だった。
見付からなかったらそれまでだ、と晶は思った。
きっとそろそろ手放す時が来ていたのだろう。
いつまでも未練がましく持っていた自分が悪いのだ。
あんな物はもっと早くに捨てていれば良かったのかもしれない。
いいきっかけだったのだ。
タクシーに落としていることも考えたが、会社をあたり電話で確認することまではしないだろう、と思った。
大通りにそろそろ差し掛かろうとしていた。
居酒屋チェーン店の明るい看板が見えた。
車の走る音も、大勢の騒ぐ声も聞こえた。
コンビニの横にあるごみ置き場。
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