「昼の光、夜の闇、そして」

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父さんはまた話し始めた。肩をすぼめ、さっきよりもっと弱々しい声だった。 「父さんの両親は火事で亡くなったってことは知ってるよな? その火事の後、父さんと妹は別々の親戚に引き取られたんだ。たらい回しにされながらだったけどな。 しかしな…何があったかはしらないが、妹は親戚の家を飛び出しちまって、いまだに行方が分からないままのさ。 母さんに出会った時、もしや妹じゃないかと思ったよ。違ったけどな。 俺たちは覚悟をもって結婚した。 けど、自分たちの子どもにまで影響が降りかかるとは考えていなかった。 どうしてやればいいのか、何かできることがあるのか、正直いってわからない。 ただ、母さんは悪人ではない。そうしなくては生きてこれなかった。 それはわかってやってくれ。
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