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なかなか動こうとしないから、桃真の方から腰を突き出す。結合部分から、どちらのものかわからない液体が溢れて出て、臀部を、背中を濡らす。
今まで全身にまとわりついていた不快感が、一気に快感に変わる。これだ。これが欲しかった。思わず、「ああ……っ」と、声が漏れる。
意地を張って、感じた素振りを見せまいとしていた時期もあった。でも最近では、どうでもよくなり始めている。恥じる必要なんてない。こいつの方がよっぽど恥ずべき行為をしてきたのだから。
挿入された瞬間の満たされた感覚はしかし、何往復かしているうちに霧散してしまう。せっかく得たはずの快感は、油断するとすぐ倦怠感に変わる。早く動け、と命じたところで、博巳が桃真の望むように動いた試しはないので、押し倒して馬乗りになる。また何か言っているような気がしたが、構わず腰を振る。ただ、単調に腰を振る。
快感を手繰り寄せた、と思ったとき、それまでぎゅっと引き結ばれていた博巳の唇が、僅かにひらいた。感じている。それが無性に腹立たしくて、両手で口をふさいでやった。必要なのは下半身だ。お前はいらない。
そしてその言葉は、自分にも跳ね返ってくる。
この忌まわしい下半身を切り離すことができたなら。
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