生きる、道

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 気づくと、窓の外はもうすっかり闇に包まれていた。  照明をつけていたので部屋の中は明るいが、ドアを開けたとき幻想的にさえ映った段ボール箱は、人口の光の下ではやけにくすんで見える。  労働者(ワーカー)として過ごす昼、両親の娘として過ごす夜。その合間の朱い時を、今日はこの弟の部屋で終えた。 「今日は『姉として』ってことになる?」  自然と零れた声は、桜自身意外に感じるほどに、笑みを含んだ明るいものだった。                             ~END~
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