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「お洗濯!」
慌てて振り返った物干しには夫のシャツがすっかり濡れてがっくりと肩を落としていた。私は唇を噛みしめて、だけどいいわと開き直った。
濡れてしまったものは、仕方がない。
気づかなかった私も悪いけれど、どうせあのひとも気がつかない。あとできちんと乾かしてしまえば、洗濯物が雨に濡れたかどうかなんて、分かるはずもないもの。
そうよ、あのひとは、きづかない。
気づくもんですか、と口の中で反復して私はスーパーへと急いだ。生クリームともどきも見分けられないひとのシチューを仕上げるために。
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