later scene.1(黒木side)

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「……お前、コーヒー淹れるの上手いよな」 「好きなんで」  ふうん、と俺からテレビ画面に視線を移す。  何か言いたげな瞳にさらにドギマギする。 「あ、こいつ。島左近」 「へえ。めちゃくちゃイケメンですね」  こういう顔が好みなのかな、と画面に映ったシュッとした顔を眺める。ゲームのキャラクターにまで嫉妬してどうするんだ。自分でも呆れる。 「……ちょっとお前に似てるよな」 「え」  予想外の言葉に思わず目を見開く。佐野さんは穴のあくほど俺の顔を見つめてくる。……ものすごく照れる。 「そんなに見ないでください……」  と片手で口元を覆った。佐野さん、目力(めぢから)強いんだよな。目大っきいし。 「……俺、お前の手、なんか好きかも」  視線を外さずぐいぐい寄って来て、手をとられる。 「――な、何なんですか、もう」 「あ、いや深い意味はないよ? 手のひら大きいわりに、指が細くて長くていいなあって……」  深い意味なくてこれ? もう、これわざと? 誘われてる俺!? え、どっち!? 「佐野さん……歯に衣着せないというか。思ったことズバズバ言うタイプですよね」  背中をつーっと汗が流れていく。何かを試されてる気がしてならない。 「あー……うん。そうかも」  やっと手を離してくれてほっと息をつく。佐野さんが照れたように後ろ頭を掻いた。 「俺、昔それで結構失敗したからさ。あんまり自分の感情出さないようにしてたんだけど。でも、お前にはその必要がないっていうか……」 「佐野さん……?」
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