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「……お前、コーヒー淹れるの上手いよな」
「好きなんで」
ふうん、と俺からテレビ画面に視線を移す。
何か言いたげな瞳にさらにドギマギする。
「あ、こいつ。島左近」
「へえ。めちゃくちゃイケメンですね」
こういう顔が好みなのかな、と画面に映ったシュッとした顔を眺める。ゲームのキャラクターにまで嫉妬してどうするんだ。自分でも呆れる。
「……ちょっとお前に似てるよな」
「え」
予想外の言葉に思わず目を見開く。佐野さんは穴のあくほど俺の顔を見つめてくる。……ものすごく照れる。
「そんなに見ないでください……」
と片手で口元を覆った。佐野さん、目力強いんだよな。目大っきいし。
「……俺、お前の手、なんか好きかも」
視線を外さずぐいぐい寄って来て、手をとられる。
「――な、何なんですか、もう」
「あ、いや深い意味はないよ? 手のひら大きいわりに、指が細くて長くていいなあって……」
深い意味なくてこれ? もう、これわざと? 誘われてる俺!? え、どっち!?
「佐野さん……歯に衣着せないというか。思ったことズバズバ言うタイプですよね」
背中をつーっと汗が流れていく。何かを試されてる気がしてならない。
「あー……うん。そうかも」
やっと手を離してくれてほっと息をつく。佐野さんが照れたように後ろ頭を掻いた。
「俺、昔それで結構失敗したからさ。あんまり自分の感情出さないようにしてたんだけど。でも、お前にはその必要がないっていうか……」
「佐野さん……?」
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