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あの日……佐野さんの誕生日に初めて肌を重ねて。佐野さんは男同士初めてだろうし、いきなり最後までなんて身体に負担かけるだろうし我慢しようと思ってたのに。
まさか佐野さんからあんな台詞出てくるなんて想像もしてなかった。
俺も余裕なくなって、勢いにまかせちゃったところあるから……佐野さん、痛かったと思うんだけど……嫌になってないかなあ。そう思うと、なかなかそういう雰囲気になだれこめない。……でも、嫌ならうちに来ないよな、うん。――けど。
いざ、押し倒して「無理だ」って言われたら……へこむなあ。
背中に感じているぬくもりが心地よくて離れがたかったが、沈黙に耐えかねて
「コーヒー、飲みます?」
と訊くと、
「うん」
と返ってきたので立ち上がってキッチンへと向かった。
香ばしい匂いを漂わせたコーヒーカップをふたつ手に、またソファへと戻る。ひとつを佐野さんに渡し、先ほどの位置へと体を戻すと、もぞもぞと佐野さんがくっついてきたのでほっとした。
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