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ゲームを終了させると、佐野さんは少し怒ったように俺を睨みつけた。
「なに急にサカってんだよ」
「急じゃないです。佐野さんがそんな話するからです」
「煽ってた? 俺」
「……めちゃくちゃ煽ってました」
ぷーっと頬を膨らませると、佐野さんがさも可笑しそうに腕をバンバン叩いてくるので、痛いです、とひっこめた。
「悪い悪い。んじゃ、やるか」
と、すいっと立ち上がって寝室へ向かうので、一瞬、拍子抜けする。
え、やるって、ヤるの? いいの? 真昼間なんだけど。
見えない糸に引っ張られるように、よどみなく歩く佐野さんの後をついていく。
座れ、と顎で示されて、ベッドに腰かける。その俺の脚の間に片膝をついて、腕を首に絡めてきた。
「……言っとくけどさあ」
見上げた佐野さんの頬が紅潮している。
「俺、ちゃんとお前のこと好きだから。――お前は?」
「す、好きです」
「じゃあ、触ってこいよ。……不安になるだろうがよ」
すっごい威圧的に、とろけるような告白をしてくる。
「……馨介」
佐野さんが首を傾けて、唇を重ねてきた。
「ん……」
佐野さんから。――初めて。告白とは正反対に、おずおずと舌を差し入れて、俺の上顎を舐める。そのもどかしさが愛しくて、もっと味わいたかったけど我慢できずに舌を絡める。
「ふ、んんっ……」
合間に漏れる吐息すら可愛い。やがてぷは、と唇を離して、細く整った眉を吊り上げた。
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