2:凶行

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 すると猫たちは喜んで飛びつき、それを食べ始めた。 「ふふっ…ふふふっ」  一生懸命食べる猫たちを見ながら、幸秀は笑顔を浮かべる。  彼はそれからも、魚を焼いては猫たちに与え続けた。  大家は不思議に思っていた。  幸秀の奇行が、ある時からぴたりと止んだのだ。 (何があった?)  平和な日々が続くのは嬉しい。しかし今までが今までだっただけに、平和が過ぎると逆に不安になる。彼は様子を見に行った。 「…ん?」  日陰荘と隣家との間で、猫がくつろいでいる。  窓からは幸秀が笑顔をのぞかせていた。 (もしかしたら…)  彼の奇行が収まったのは猫のおかげかもしれない。大家はそう考えた。 (このまま大人しく過ごしてくれれば助かるんだが)  言葉は心配げだったが、その表情は嬉しそうだった。  彼は幸秀に声をかけることなくその場を離れる。帰宅した後で、とてもうまい酒を飲んだ。  それから2ヶ月ほどたったある日の夜。  日陰荘に、絶叫と笑い声が響き渡った。 「ギィヤァアアアアアアアアアアアアアッ!」 「ぐひゃっ! ぐひゃひゃひゃあっ!」
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