3:日陰荘の戦い

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 肌に掘られた刺青のように見えるが、絵ではない。4つの目と8つの足をそれぞれ細かく動かし、体の正面を直親の足方向へ向ける。 「やはりここから…なのか?」  直親は尋ねる。その言葉は目元の蜘蛛に向けられていた。  蜘蛛はくるりと向きを変え、13号室がある方角を指し示す。  直親にもそれは伝わっているようで、彼は4号室のドアを開け放ったままそちらを見た。 「…これは…!」  今まで何もなかった廊下に、赤い道が浮かび上がる。  4号室と13号室をつなぐそれは、哀れな親猫が子猫を救うために這いずった跡だった。 「4で始まり13で終わる、か…和洋折衷の不吉さというわけだ」  直親は誰ともなくつぶやくと、赤い道を歩き始める。  途中まで来た時、目元の小さな蜘蛛が消えた。代わって両手の甲に、体長10センチほどの大きな蜘蛛が出現する。 ”ンォオオオオオ…!”  13号室の向こうから、威嚇するような猫の鳴き声が聞こえてきた。  声を聞いた直親はつらそうに顔を歪める。 「無理、なのか」  両手を握りしめる。
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