逢魔が時。それは人と人ならざるモノたちが出逢う時

　六限目の英語の授業。数日前に行われた小テストが返却された。

「え!?」

　唯人は思わず声をあげた。
　名前の横に書かれた点数は10点中８点。一問１点なので、二問も間違っていることになる。

「な、なんで……。なんでこの答えが、間違ってるんですか！　合っているはずです！」

　唯人は英語教師で担任の男に、食ってかかる。
　担任はめんどくさそうな顔をして、ぶっきらぼうに答えた。

「その答えだと、ニュアンスが微妙に違う。質問はあとにしろ。次のやつ、取りに来い」

　唯人はすごすごと、自分の席に戻る。

「あいつ、普段からずっと勉強してんのに、テストで点数取れねぇの」
「それ、マジで意味ねぇじゃん」
「勉強しても身になってないって、それただのバカじゃん」

　唯人に聞こえるように、「アハハハ！」と笑う男子生徒たち。

　クラス中に聞こえているはずだが、誰も注意をしない。唯人に「行儀が悪い」と言ってきたクラス委員長の染崎ですら、何もいわない。

　唯人は悔しそうに、机の下で手を握りしめた。