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はじまり
俺の名前は安藤望(あんどうのぞむ)
ここ虹色学園に通っている高校二年生。
虹色学園はお金持ちが通う男子校の全寮制である。
ゲイ、バイの多くで構成されておりホモ学園と言っても過言ではない。
幼少期から俺は貧乏生活を送っていたが、ある日俺の父を名乗る男が現れてから生活は一変した。母も変わり、兄ができ、皆に親切にしてもらい今まで生きてきた。
美味しいご飯に豪華な部屋や風呂。
しかし俺には、喜怒哀楽が分からない。分からないと言うより感じることが出来ないと言った方が正しいか。
小さい頃はそれが普通だと思っていた。
でも違った。
母も父も兄も皆が表情を変えて過ごしていたのだ。
テレビを見て笑い、喋って笑い、怒り、怒られて泣き……どこか違う世界に来てしまった感覚すらあった。
だから俺も笑うことにした。
無表情な顔は雰囲気を壊すことを学んだし、嫌な思いをさせることも学んだからだ。
俺が笑うと家族も笑った。気味が悪いと言っていたクラスメイトも喋りかけてきた。
笑うことはいい事だって母が教えてくれた。皆嫌な思いをしないように俺が笑う。
俺は何にも感じない。でも、表情を変えることは出来る。
だから俺は毎日死にたくなりながら笑うことにする。
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