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高校生活
「おはよう、瑞希(みずき)」
朝、俺は同室者である瑞希にニッコリ笑って挨拶をする。
「……おう……ふぁ〜」
寝起きが悪い瑞希は、椅子に座りながらまた眠りにつこうとする。
「遅刻するよ?早く朝ご飯食べないと」
「分かってるよ……毎朝悪いな。朝ご飯も弁当も作ってくれた上に俺のこと起こしてくれて」
いつもと同じ通りの台詞を同じ台詞で返す。
「気にしないで、俺が好きでやってるだけだからね」
クスリと笑い前日に用意した学校の持ち物の最終チェックをする。
「……お前さ弱点とかないわけ?」
唐突に瑞希が聞いてきた。
「弱点?」
「おう、名家である安藤家の次男で、この学園の副会長。成績も優秀だし、運動も得意。いつも笑って性格もいい、料理もできる。真面目だけど固すぎず、顔もイケメンときた。まるで絵に書いた様な王子様じゃん」
「王子様ってまた大袈裟な」
「大袈裟じゃないぜ。生徒会の連中なんて新衛隊に当たりきついのに、お前なんて自分の新衛隊以外にも優しくしてさぁ〜」
朝ご飯である卵焼きを齧りながらもごもごと喋る。
「別に特別優しくしてるって訳でもないよ?皆同じように接してるだけ」
「だから、それが変なんだってば、人には少なからず好き嫌いがあるだろうが」
「うーん。そうかなぁ」
「……俺、お前のこと同じ部屋になるまではいい子ちゃんぶってる奴かと思ってたけど、マジで良い奴だと思ったわ」
「裏表で酷い人もいると思うけど……」
「まぁいつも素で居ろってのが無理な話なんだよなぁ」
ズルズルと音を立てて味噌汁を完食する。
「…………ごめん、話の途中に。そろそろ生徒会の仕事もあるし、先行くね」
時計を見ながらそう言うと瑞希は黙って頷いた。
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