dos

1/2
前へ
/15ページ
次へ

dos

すべて捨てても構わないと君は笑った。 僕がいるならそれだけでいいと泣くから思わず逃げ出したくなった。 君が容易く放り投げた幸せを掴まえに行かなくてはいけないと思った。 僕に何を求めているの。 だって君は知っているだろ。 僕は何も持っていない あげられるものなんて何もない。 僕という空の容器に何の意味がある。 君が大事に育んできた幸せや温もりを手放す価値が何処にある。 強引な君の言葉が、振り解く事を許してくれない力強い手が僕のものだとどうして思えるだろう。 優しさも温もりも不器用な僕の手がいつか壊してしまうなら最初から欲しくはない。 欲しくないんだよ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加