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「もともとは、おれ介護士でさ最初は介護してたの。
でも芸能人になりたいって夢からアメリカに旅立ってアメリカで頑張って芸能人なったんだけど...最初は軌道に乗ってたものの途中から、介護に戻りたいって...芸能人と介護の両立したかったんだけど、それも無理だった。まぁ、2足のわらじは履けなかったんだよね」
介護士、芸能人...そんな両極端な選択をしてたんだ
そもそも芸能人で介護士なんて聞いたこともないし、あるはずがない。
「はぁ...」
どういう返事をしたらいいか分からず、顔を少し顰め頷いていた。
「お腹すいたんじゃない?食べよ食べよ」
「あっ、いただきます」
衝撃的過ぎて、味も分からないままだった...
とりあえず、話をしながらご飯を食べた。
ふと隣の席で、1歳過ぎの子供が遊んでいた。
俺は心の中でこっそり
『子供が遊んでるよー!?おかあさーん?おとうさーん?』
とちょっとだけ思っていた。
すると、副社長がふと微笑んで子供の行動を制止した。
「あぶないよ?」
その微笑みが、今も忘れられないでいる。
あの笑顔、子供が好きなんだろうなってくらいの顔をしていた。
「あっありがとうございます」
と子供の両親が頭を下げた。
2人でいえいえ、にこりと笑いと会釈をする。
隣の親子がお店を出ていった時
「おれ、子供好きなんだよね」と言っていた。
なるほど、納得。
確かにそうだよな。
そんな感じだったもん。よくわかる。
一通りご飯を食べ終え、会計で店員を呼ぶ。
お会計をする際に、財布を出そうとしたが止められた。
「ここは、俺が払うから大丈夫」
やっぱ年上は違うなぁ。俺も見習わないと。
妖艶なエレベーターに乗るが、やっぱり狭い中の2人きりは少し気まずい...。
すぐ駐車場まで到着し、車に乗り込んだ。
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