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海浜公園
海の音とともに、ここはカップル御用達のところだと言う所にあまぁい声で思い知らされた。
隣にカップルがイチャイチャしている声が聞こえる。
「夜の海こわぁぁい〜」
「俺に捕まってれば大丈夫。ほらこっちおいで」
男は、女の頭を軽く触り肩に乗せていた。
カップルめ、爆発しろ!
なんてちょっと思ったりしていたが、副社長がいきなり
『俺もあれ、したい』
と耳打ちしてきた。
ささやき声に驚いた俺は耳打ちされた方の耳を両手で押え目を丸くして
「おおおおおとこどうしで、そそそそんなことしたらおかしいでしょ!?」
ふざけてるのか、ばかなのかどっちなんだ!?
しかし、忘れちゃいけない。副社長はノンケだ...結婚もして子供もいたんだ。
俺は幸せを望んじゃいけない。
「別に見てる人いないし、いいじゃん。ここここ。」
そう指さす場所は、副社長の肩だった。
「だだだだだれが、副社長の肩に頭のせるんですか!!」
すこし顔をしかめ
「そのさ、副社長ってのやめない?俺、りゅうちゃん♡がいいな♡」
話の語尾に♡がついてるような話方をされた。
「副社長…。いや岡田さん…。なんで俺なんですか?」
俺は、一番聞きたかったことを聞いた。
「なんでって?言ったじゃん。可愛いって思ったから。あと仕事の仕方かなー。仕事の最中さ、笑顔とかお客さんの対応がすごいよくて、ほかの人と違うなって思って気になってたんだよね。顔が可愛いだけじゃなくてさ。」
顔が可愛いって…確かにみんなには中性的な顔とは言われるが。
仕事の仕方…
「派遣の人ってさ、俺、わたしは正社員じゃないから適当にしますーとか、手を抜くことよくあるんだよね。周りをよく見ないとか。でも結城君は違って気は利くし、しっかりとしてる。あっ、そういえば高田さんに声かけたとき会ったじゃん?」
「高田さんですか?あの時がなにか?」
高田さん、利用者で入浴の声かけをしたときかな…
「あのとき、前かがみになってたときに…パンツ…見えてたんだよねww」
「ぱぱぱぱぱぱぱんつですか!?」
このおじさんは俺の何を見ていたんだ!このヘンタイ!
「そうパンツww見ちゃダメって思ってたんだけど、高田さんにも見えてたらしくて、結城君が二階に行った後に、高田さんとパンツについて話したんだよねww結城くんってオトコノコなの?かわいいパンツ履いてたねwってww
あの時のパンツって、ピカチュウだったでしょ?可愛い顔で可愛いパンツとかちょっときになるじゃんww」
「おおおおおおとこのパンツみてなにがたのしいんですか!!!」
「だって、結城君女の子っぽいし、もしかしたら女の子?って思ってパンツ見たらピカチュウのボクサーパンツでしょ?それからずっとさ、結城君のこと気になっちゃってww」
ノンケのくせに、パンツ見てなに楽しいんだ。いつも見慣れてるだろ!
ヘンタイ、エッチ!
単純なことで気にされていたのか。
「でもね、パンツwwだけじゃないんだよ。俺さ、人を見極められる人なんだよね。結城君はできる人だと思う。この職場でずっと仕事してると結城君絶対主任とかなれるタイプの人だよ。」
「リーダーとかできるタイプの人間じゃないっすよーw俺人まとめるの苦手だし。」
まっすぐな視線で副社長が俺の目を見ていた。
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