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まぁ俺には無理だ。
とりあえず、他に話をずらした。
「ふく...岡田さんの職場ほんと働きやすくて、俺好きです。」
「じゃぁ、派遣じゃなくて直接働かない?」
というか、話の流れからなんとなくそうなのかなと思っていた。
俺にとっては願ったり叶ったりだ。
「えっ、いいんですか?嬉しいです!1回仕事しましたが凄く働きやすくてよかったので!」
「よかった!じゃぁ今度書類渡すね、一応履歴書も書いといてね」
なんか、上手く乗せられた気がするが気にしない。
一定のところで働きたかったから、有難い。
「はい、というか副社長ってなんで介護士になろうと思ったんですか?芸能人と介護士ってなんか似ても似つかなくて...不思議だなぁって。」
さっきのおちゃらけた表情から一変真剣な表情になった。
「介護士ってのは、親の敷いたレールの上歩きたくなかったってのが1番かな。俺の叔母がさ、入院してた時によく介護しに行ってたんだよね。それを見た看護師がこの道に入ったら?って勧めてくれたのがきっかけなんだよね。俺の親厳しくてさ、全然俺のゆうこと聞いてくれねーの。だから無理にでも介護福祉士取って黙らせてやろうと思って。」
「看護師にはなろうとは思わなかったんっすか?」
副社長は知識量も凄く看護師になれると思う。
「あの時代だから男が看護師になるなんて考えないよ。でも、今言われたらなる自信あるかもしれない。でもさすがにもう無理だよなー」
親の反対を押し切り介護士になった副社長すげー。
「学費も自分で稼いで勉強してさ。」
チャラチャラしてるように見えて、どことなくしっかりした芯のある人なんだな。
「全然そんな風に見えない。じゃぁ芸能人はどうして?」
「芸能人はなりたくてなった。演技は好きだから...結局5年くらいしてやっぱ介護士のが好きだから介護士になったんだけどね」
「芸能に介護士の両立ってのは出来なかったんすか?」
夜風が少し冷たく感じていた。
暗い海の中、副社長の表情はあまり見えなかった。
「やっぱ両立って厳しいよねー。芸能活動が上手く行けば介護士が疎かになる。そんな感じでだめだったんだよね。」
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