3

1/1
前へ
/30ページ
次へ

3

俺は、あれからどうやって帰ったか曖昧にしか覚えてなかった。 もう恋はしないと決めていた。これ以上傷つきたくない、人との接触もできるだけ避けていた...はずなのに... どうしてここまで心がかき乱されるのか。 副社長と出会ってそんな間がないはずなのに。 布団に入り、寝ようとしたがドキドキして寝付けなかった。 「あれ...?俺なんでこんなドキドキしてんだ?副社長男だし、男...だし...バツイチだし子持ちだし...」 頭の中で今日の出来事が目まぐるしく回っていく。 少しずつ俺の頭の中はお花畑になっていく。 あっとりあえず副社長に連絡... 『無事に家に着きました。ありがとうございました。最後のハグよく分かりませんでしたが(笑)』 こんな感じで大丈夫だろうか、ドキドキしすぎて何度も何度も書き直した。 冗談混じりで送ってみた。 寝れねー!年甲斐もなくドキドキしすぎてる。 副社長からの返事を悶々と考えながら待っていた。 帰りついたかな?大丈夫かな? とか...。 というか...副社長...ノンケだよな? 俺のことずっと可愛い可愛いって言ってたけど、その気あるのか? いや、結婚して子供までいたんだ。ノンケに決まってる。 でも、ノンケでそこまで男である俺に気を持たせるようなことするか? そこは、追追聞いてみるか... 冗談混じりで言ったら答えてくれそうだからな... 色々考えて...夜が開けてしまった...。 ——————-... とりあえず、仕事行くか... 今日は月曜日...1週間がまた始まる。 こんなモヤモヤした気持ちで...副社長の事で頭がいっぱいの状況で、仕事に行く。 が... 「ちょっと結城くん、大丈夫?今日すごいぼーっとしてない!?」 同僚に心配されてしまった。どうしようう! 仕事が手につかない...!!! 「とりあえず...俺、休憩行ってきます....」 どうしよう、お腹もすかない.... いつも大食いの俺が、給食に手を付けなかった。 「結城くんどしたの!?体調悪いの!?ご飯食べてないじゃない!?」 「はぁ...おなか...空いてないんっすよ...別に体調悪いわけでもなく...」 心配をしてくれる同僚がいてありがたい。 だが、俺のこの食事が進まないのは恋だの愛だの的なアレだ! 絶対昨日の副社長とのハグが原因...。 1日中、ため息ばかり。とりあえず仕事だから、子供たちの事はしっかり見ている...はず。 「結城センセー?なんではぁ...ばっかいってるのぉー?」 なんと、子供にまで心配される始末だ。 「なんでもないんだよー!ほら、遊ぼう!」 なんて言ってみるものの、頭の中で 『結城くんは、可愛いね』 って声と顔がリピートされていた。 —————————.... 長い1日が終わった... スマホを見ると副社長からのLINEが届いていた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加