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俺は、あれからどうやって帰ったか曖昧にしか覚えてなかった。
もう恋はしないと決めていた。これ以上傷つきたくない、人との接触もできるだけ避けていた...はずなのに...
どうしてここまで心がかき乱されるのか。
副社長と出会ってそんな間がないはずなのに。
布団に入り、寝ようとしたがドキドキして寝付けなかった。
「あれ...?俺なんでこんなドキドキしてんだ?副社長男だし、男...だし...バツイチだし子持ちだし...」
頭の中で今日の出来事が目まぐるしく回っていく。
少しずつ俺の頭の中はお花畑になっていく。
あっとりあえず副社長に連絡...
『無事に家に着きました。ありがとうございました。最後のハグよく分かりませんでしたが(笑)』
こんな感じで大丈夫だろうか、ドキドキしすぎて何度も何度も書き直した。
冗談混じりで送ってみた。
寝れねー!年甲斐もなくドキドキしすぎてる。
副社長からの返事を悶々と考えながら待っていた。
帰りついたかな?大丈夫かな?
とか...。
というか...副社長...ノンケだよな?
俺のことずっと可愛い可愛いって言ってたけど、その気あるのか?
いや、結婚して子供までいたんだ。ノンケに決まってる。
でも、ノンケでそこまで男である俺に気を持たせるようなことするか?
そこは、追追聞いてみるか...
冗談混じりで言ったら答えてくれそうだからな...
色々考えて...夜が開けてしまった...。
——————-...
とりあえず、仕事行くか...
今日は月曜日...1週間がまた始まる。
こんなモヤモヤした気持ちで...副社長の事で頭がいっぱいの状況で、仕事に行く。
が...
「ちょっと結城くん、大丈夫?今日すごいぼーっとしてない!?」
同僚に心配されてしまった。どうしようう!
仕事が手につかない...!!!
「とりあえず...俺、休憩行ってきます....」
どうしよう、お腹もすかない....
いつも大食いの俺が、給食に手を付けなかった。
「結城くんどしたの!?体調悪いの!?ご飯食べてないじゃない!?」
「はぁ...おなか...空いてないんっすよ...別に体調悪いわけでもなく...」
心配をしてくれる同僚がいてありがたい。
だが、俺のこの食事が進まないのは恋だの愛だの的なアレだ!
絶対昨日の副社長とのハグが原因...。
1日中、ため息ばかり。とりあえず仕事だから、子供たちの事はしっかり見ている...はず。
「結城センセー?なんではぁ...ばっかいってるのぉー?」
なんと、子供にまで心配される始末だ。
「なんでもないんだよー!ほら、遊ぼう!」
なんて言ってみるものの、頭の中で
『結城くんは、可愛いね』
って声と顔がリピートされていた。
—————————....
長い1日が終わった...
スマホを見ると副社長からのLINEが届いていた。
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