あれ...?

1/1
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ

あれ...?

さて、半日仕事をしてだいぶ慣れてきた。 レクリエーションの介助、お茶出し、リハビリ介助... 席を立つ利用者に対して、優しく声掛けをする。 「大丈夫ですか?お手伝いしますね。」 ニコリと笑う。ここは、笑顔が1番大切だ。 「あらまぁ、ありがとうね。」 この言葉が1番嬉しい。介護をしている俺にとって1番のご褒美だ。これがあるから介護などサービス業は好きだ。 嫌なことがあってもすぐ元気になる。 12時... 「あっ結城くん、休憩入っていいよー」 ふぅ、休憩だ。 「ありがとうございます。行ってきますね」 介護は好きだがやっぱり人を介護するというのは、体力を消耗する。 10畳ほどのスタッフルームで、1人休憩に入る。 椅子に腰掛け、両腕を上げ少し背伸びをする。 「んーお腹空いた。」 小さな声で、そう呟くとおにぎりをパリパリと封を空ける。 ふと、ドアの近くを見ると副社長がいた。 「おっ結城くん。お昼おにぎり?」 「そうです。」 おにぎりを片手にそう返事をする。 「結城くん若いけど、何歳?他の日は何してるの?」 「俺、一応30です。保育園で保育士をしてて...」 他愛もない話に花を咲かせる。 見た目に反して、さすが副社長なだけにしっかりした考えを持っている。 案外チャラいと思ってたけど、そうではなく芯があるしっかりした人なんだなぁ...。 「あっ副社長...岡田さんって何歳なんですか?」 「38」 えっ!確かに若い若いとは思っていた。 38、俺より8しか離れていないのに副社長の座を射止める人って....すげー それにしても、副社長の話しやすいこと。 話は合うというか、合わせてくれてる? なんだかんだで、1時間すぐに過ぎてしまった。 休憩も終わり仕事に戻る。 休憩室から出ようとすると、ふと頭をぽんぽんされる。 「...ん?」 「昼からも頑張ろうな」 笑顔で返され、大きな手のひらで頭をぽんぽんとされ暖かみを覚えた。 その時はなにも考えていなかった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!