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あれ...?
さて、半日仕事をしてだいぶ慣れてきた。
レクリエーションの介助、お茶出し、リハビリ介助...
席を立つ利用者に対して、優しく声掛けをする。
「大丈夫ですか?お手伝いしますね。」
ニコリと笑う。ここは、笑顔が1番大切だ。
「あらまぁ、ありがとうね。」
この言葉が1番嬉しい。介護をしている俺にとって1番のご褒美だ。これがあるから介護などサービス業は好きだ。
嫌なことがあってもすぐ元気になる。
12時...
「あっ結城くん、休憩入っていいよー」
ふぅ、休憩だ。
「ありがとうございます。行ってきますね」
介護は好きだがやっぱり人を介護するというのは、体力を消耗する。
10畳ほどのスタッフルームで、1人休憩に入る。
椅子に腰掛け、両腕を上げ少し背伸びをする。
「んーお腹空いた。」
小さな声で、そう呟くとおにぎりをパリパリと封を空ける。
ふと、ドアの近くを見ると副社長がいた。
「おっ結城くん。お昼おにぎり?」
「そうです。」
おにぎりを片手にそう返事をする。
「結城くん若いけど、何歳?他の日は何してるの?」
「俺、一応30です。保育園で保育士をしてて...」
他愛もない話に花を咲かせる。
見た目に反して、さすが副社長なだけにしっかりした考えを持っている。
案外チャラいと思ってたけど、そうではなく芯があるしっかりした人なんだなぁ...。
「あっ副社長...岡田さんって何歳なんですか?」
「38」
えっ!確かに若い若いとは思っていた。
38、俺より8しか離れていないのに副社長の座を射止める人って....すげー
それにしても、副社長の話しやすいこと。
話は合うというか、合わせてくれてる?
なんだかんだで、1時間すぐに過ぎてしまった。
休憩も終わり仕事に戻る。
休憩室から出ようとすると、ふと頭をぽんぽんされる。
「...ん?」
「昼からも頑張ろうな」
笑顔で返され、大きな手のひらで頭をぽんぽんとされ暖かみを覚えた。
その時はなにも考えていなかった。
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