まちあわせ

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まちあわせ

この時の俺は付き合ってる相手もおらず、お金を稼ぎたいがために一心不乱に仕事に勤しんでいた。 基本月~金曜まで保育園、土日休みのため土日のどちらかもしくは、土日のどちらも介護士をしていた。 週6~7日仕事ってわけだ。 疲れるかと言われれば、知らない場所に行くという意味では疲れはするが家でダラダラし無駄な時間を過ごしているよりましだ。仕事が好きだから苦ではない。 今日は祝日だった。副社長にも言った通り施設の仕事を単発で入れていた。 今日の仕事場は電車で40分ほど行った場所にある。 外観はちょっと豪華な三階建ての家だった。 玄関は、煌びやかな装飾。 数人程度のデイサービスで、高級な一軒家だった。 その中で、入浴介助、食事介助などをする。 その施設も、俺が行ったことないような所だった。 もともと高級住宅街のお上品な方々が利用する施設だったらしい。 言葉遣いは敬語を使い、呼ぶ時は必ず〇〇様と様付けだった。 面白いなと思いつつ俺は仕事を淡々と進めた。 「〇〇様、お風呂入りませんか?」 など声掛けをして、お風呂に誘導する。 タオルなどは適当に使っていいとの事だったから沢山使った。 ちなみに俺はかなりの大雑把だし、仕事は早くこなさないと気が済まないタチだ。 お風呂場も広い、浴槽は2つ、介助用の椅子も2つ。 更衣室もかなり広めだ6畳...いやいや、10畳くらいあるだろうか。 お金持ちの家は掃除するのが大変そうだ。 2人の利用者を誘導しては、着脱を介助。1人リビングに移動、またお風呂という順で進めていく。 入浴が終われば、食事介助だ。 といっても、軽介助のデイサービスだから配膳して見守る。それだけだった。 食事が全員終わり、休憩に入る。 今日一緒に働いた看護師の人と休憩が重なりおしゃべりしていた。 「お疲れ様です。ここのデイサービスっていつもこんな感じなんですか?」 俺が問いかけると、苦笑いをした看護師の女性。 「オーナーがねー、高級住宅街なんだからってこんな感じにしてるらしいですよ。上品にがモットーみたいです。」 東京ならではなのかなー。 上京して間もない俺は、さすが東京。都会だなぁ。 と思ってしまった。 色々と話をしていると 「私ねぇ、」 と身の上話をしてくれた。 俺も何人か付き合ってきたが、過去の男はみんなクズだったが...さらに、壮絶な人生を送っていたみたいだ。 「前に付き合ってた彼氏がいるんだけど、ある日妊娠した事に気づいたの。 妊娠したことを彼に告げたら逃げられちゃって。 家族とも色々話して、私も若かったけど親も協力してくれるってことで生んだの。シングルマザーってやつ。それからいろいろ苦労したのよ。だから本業の休みの合間に副業してるのよ。子供ももう小学生だしね。ガンバって働かなきゃ」 この看護師は俺よりも二歳くらい上で、生んだのは20歳だったらしい。 いまは彼氏がいるらしいが、その人も実はDVが絶えずあまり良い人ではないとのこと。 ひぇ…俺とほぼ変わらない年齢なのに俺よりも苦労してる。大変そうだな… 「こんな話聞きたくないわよね。ごめんなさい。」 少し悲しい顔をしてうつむく。 「いや、俺も実は結構な体験しているんですよ。まあ、あなたよりかは軽いですけどね。あはは」 ま、俺の恋愛対象は男だけどな。 そんなこんなで休憩も終わり、仕事の続きをし始めた。 ーー17時 「お疲れさまです!ありがとうございました。またよろしくお願いします」 社交辞令もそこそもに、着替えを終えて玄関を出る。 あ、副社長に連絡しなきゃな。 『しごと、終わりました。待ち合わせ場所に向かいますね』 すぐに返事が来た。 『仕事終わりだし、一回家に帰る?焦らずゆっくり来てね。気を付けて』 また、電車を40分かけて最寄駅に着いた。 副社長を待たせてはいけない、と家に帰らず待ち合わせ場所についた。 『今、つきました。少し遅れました大丈夫ですか?』 少し汗をかきながら、あたりを見渡す。 まだついていないのか。というか、車の車種しらねーし!笑 『ごめん、車多くてまだついてないんだよね。もう少し待って』 そうか、確かに東京だし車通り多いところだからな仕方ないか。 『大丈夫です。気を付けて着てください。』 車を待ちながら俺の心は少しわくわくしていたのだった。
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