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いっしょにごはん
ーー10分後
『ついた』
きょろきょろとまわりを見渡すが、副社長らしき人はみあたらない。
てか、一回あったくらいじゃ顔少ししか覚えてないしな。
『どこですか?』
『駅の近く。白のプリウス。結城君だったら大丈夫。感じろ!』
感じろってww
無理wプリウスなんていっぱいいるしわかるか!
歩いていると副社長らしき人を見つけた。
『見つけました。近くにいますよ』
10メートルくらいの距離から連絡を取ると、車から降りてあたりをきょろきょろと探している副社長の姿が目についた。
『どこ?』
探してくれているようだ。
『後ろ、副社長の後ろにいます。』
その姿が少し面白く、俺はくすくすと笑って近づいた。
ポンッと副社長の肩をたたくと、ようやく気づいてくれたようだ。
「どこいるか、わからなかった。お疲れ様。あれ?いったん家に帰った?」
「いえ、副社長を待たせたら悪いのでそのまま来ちゃいました。」
「車乗って乗って。」
そういうと運転席に乗り込む副社長。
ドアを開けてふと疑問に思っていることを聞いた。
「この車…土禁(土足禁止、今は死語?笑)ですか?」
昔、高級車で土足禁止にしている人がいたのを思い出したからだ。
「え…?なにそれww大丈夫、土足禁止じゃないからw」
「あwならよかったですwお邪魔しまーす」
ドアに気を付けながら、乗り込んだ。少し甘い匂い、どこか懐かしい香りにおれは少しだけリラックスができた。
「ごはん何食べたい?なにか食べられないものある?」
俺は好き嫌いなく全部食べられる人だ。出されたものは全部食べれる。
「特にないです。なんでも食べますよ」
「じゃあ、俺の行きつけのイタリアンレストランでもいい?」
イタリアン…ドレスコードとかはないだろうか。仕事終わりだから、適当な格好しかしていない。恥ずかしい…
「えwいいですが、俺こんな恰好ですよ!?ドレスコードとかありませんか?」
「俺も職場帰りからポロシャツで食べ行ったりしてるから平気平気ww」
ポロシャツで行ってるなら大丈夫か…。
というか、今手持ちそんなにないw大丈夫かな?
車で30分ほど走らせて新宿についた。
車の中、今日はどんな施設だったの?とか、休みの日はいつもなにしてるの?とか他愛もない話を笑いながら話をして、話が尽きることはなかった。
「ついたよ。ここ。芸能人とかもお忍びで来てたりするところなんだよね。ここの料理結構おいしくて好きなんだよね。」
「へぇー…。あんまり外食しないからわかんないんですよね。俺イタリアン料理とか初めてな気がします。」
車から降りてエレベーターまで歩いていると
「ここのエレベーターちょっと妖艶なんだよね。びっくりしないでねw」
なんじゃそりゃw妖艶てwどんなエレベーターやw
「なんすか?ww妖艶?w」
エレベーターが開くとともに副社長が言っている意味が分かった。
心もとない照明、手元もあまり見えないような暗さで全面鏡というエレベーターだった。
「なるほど、これのこと言ってたんですねw」
「ちょっと、妖艶でしょ?」
なんとなく副社長から距離を取り、鞄を抱えるように持ってエレベーターに乗った。
「……。」
着くまでの数秒の少しだけ無言になってしまった。ちょっと気まずいw
「あ、ついたねwそんなに緊張しなくてもいいよw」
「いらっしゃいませ、お客様は二名様でよろしいですか?」
「あ、はい。」
「ではご案内しますね。」
優しそうなお姉さんが案内してくれる。
このレストランは、二階建てになっており吹き抜けになっている。
かなり広く座る席はかなり多い様子。
「ここ、座って。」
誘導されたのは、副社長の隣の席だった。
4人席に案内され広い椅子なのに、隣に誘導してくる。
椅子をポンポンとされ、仕方なく俺は副社長の隣の席に座った。
「なに頼む?」
「あ…ここのおすすめってなんですかね?俺よくわからないので、副社長が適当に頼んでもらってもいいですか?」
メニュー表を見て、店員を呼ぶ。
「これと…これと…これお願いします。」
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