マンションの一室/同調する波形

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マンションの一室/同調する波形

 (あずま)景太(けいた)。あいつがそんな名前だから、東京に行きたいと言うのは自然の摂理のように思われた。 「なあ、ディズニーランドって千葉にあるんだって」  俺の部屋であるのにあたかも自分の部屋のようにくつろぎながら、景太はスマホをいじっている。 「いや、東京っていってんだから東京だろ」  俺は座卓を挟んだ正面の床に座って、カメラのレンズを丁寧に拭きながら答えた。 「ほら、千葉県って書いてある」  そう言いながら、いじっていたスマホをこちらに向けてくる。そこには東京ディズニーランドの地図と『千葉県浦安市舞浜』と書かれた所在地が表示されていた。 「そんなワケ……ええ!! ほんとだ! まじで!? 詐欺じゃん!」  俺は思わず景太の手から奪い取って画面に食らいついた。俺の様子を余所にあいつは「東京って言えば集客力ありそうだからじゃね?」なんて暢気なことを言っている。 「ええ、でもさぁ……なんかねぇ……裏切られた感するじゃん」 「裏切られた感、ハハッ」  からっとした笑い声が近くに聞こえる。子供の頃から変わらないその笑い方に妙に安心する自分がいた。いつも通りに返したら、きっといつも通りの反応が返ってくるだろう。拗ねた振りをして唇を尖らせながら言う。
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