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プロローグ
「す、すみません……血を分けていただけないでしょうか……?」
お腹が空きすぎて力が出ない。ふらふらとしながらその人にもたれるように倒れこむ。そのまま地面に崩れ落ち土下座して血を懇願した。
「……」
僕よりも美しい、その人は銀色の髪をなびやかせながら僕の身体を優しく抱き締める。温かい体温を感じ、ドクドクと、その肌の下に流れる血を想像した。もう1週間、何も口にしていない。
昔から性格上、人を無理やり襲うことなんて出来なくて、こうして道行く人に頼み込んでは百戦連敗中。しかも、僕は血のこだわりが強すぎて飲んでもマズくて吐き出してしまう。自分でもバカだと思うけど苦手なものは飲み込めない。
……ああ、もうダメだ。
目の前がグルグルと周りだし、視界が歪む。お腹が寂しくグルルと鳴って気を失った。
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